(2019/9/18 05:00)
小泉進次郎氏が環境相に就任した。就任直後から「石炭火力は減らす方向だ」と歯切れ良く語り、「私への期待を環境省への評価に変えたい」と聞き手を引きつける。環境先進国からの脱落を危惧する企業の声に応え実行力を発揮してほしい。
経団連の二宮雅也企業行動・SDGS委員長(損保ジャパン日本興亜会長)は「環境問題は地球規模の課題であり、力を発揮できるチャンスと思う」と新大臣にエールを送った。小泉環境相も重要性を認識しており「日本で気候変動の問題の扱いが小さい。世界の首脳の共通言語は気候変動だ。私はこのギャップを埋めたい」と語る。
産業界からは発信力を期待する声が多い。自身も「こんなにも露骨に売り込むのかというほど、日本の良いところを海外に知ってもらう」とし、日本の環境問題への取り組みを世界に発信したいと意気込む。
それには説得力が必要だ。日本の温室効果ガス排出量は1990年よりも増加した。優れた省エネルギー技術があると宣伝しても、自国の温暖化対策が遅れていてはPR力に欠ける。
また、国は“リサイクル優等生”を標榜(ひょうぼう)するが、廃プラスチックが製品材料に再利用されるのは2割台。5割は焼却して熱や発電に利用される。埋めるより環境への影響は小さいと説明するが、燃やすと二酸化炭素(CO2)を排出する。再生利用や代替素材の開発を進めるべきだろう。
再生可能エネルギーの普及の遅れも指摘される。米国のグーグルやアップルは、事業で使用する電気を100%再生エネで賄っている。数%しか使えていない日本企業は見劣りする。
環境先進国からの脱落に危機感を持った一部の企業は、CO2排出量に応じて費用を負担するカーボンプライシングの導入、レジ袋の有料化、再生エネの導入目標の引き上げを政府に訴えているが、経済界の中でも意見は割れている。
小泉環境相には調整力を期待したい。そして胸を張って環境先進国と言える国にしてほしい。
(2019/9/18 05:00)
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