(2019/10/2 05:00)
個人消費が比較的しっかりしているうえ、企業収益も底堅く推移、加えて株価や為替も落ち着いている。だが、企業の景況感はさえない状態が続いている。海外経済への不安感が企業マインドの重しになっており、下げ止まる気配は感じられない。日銀への追加緩和圧力がますます強まりそうだ。
日銀が1日に発表した9月調査の企業短期経済観測調査(短観)によると、代表的な指標である大企業製造業の業況判断DIは、前回6月調査から2ポイント悪化のプラス5と3四半期連続で悪化した。これは2013年6月以来の低水準で、マイナスに転じる一歩手前だ。米中貿易摩擦の深刻化に伴う中国経済の減速、欧州経済の低迷を背景に、自動車、生産用・業務用機械などの悪化が目立つ。
3カ月先の見通しを示す先行き判断DIも引き続き悪化という弱気な結果になっている。米中の首脳会談が早期に開催され米中貿易摩擦が沈静化する見通しが高まらない限り、企業マインドの好転は望めないようだ。
黒田東彦総裁は米連邦準備制度理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)の相次ぐ利下げを受けて、「リスク予防的、保険的な対応を意識するという点では日銀も同様のスタンスにある」と追加緩和策の実施に前向きな姿勢を示している。
このため、日銀が10月30、31日に開く次回の金融政策決定会合で追加緩和に踏み切る可能性は大きい。具体策として黒田総裁は(1)マイナス金利の深掘り(2)長期金利操作目標の引き下げ(3)資産買い入れの拡大(4)資金供給量拡大ペースの加速―の四つをあげており、これらの組み合わせになるものとみられる。
米中貿易摩擦の影響を小さくするため、企業はすでに製造拠点を中国から東南アジアや国内に移して、生産の維持に努めている。今後は潤沢な手元流動性を生かして、賃上げを含むヒトへの投資をはじめ、省力化・IT化投資を積極化して人手不足などを克服してほしい。そうした企業努力が生産性、収益性を向上させ、景況感の改善につながるに違いない。
(2019/10/2 05:00)
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