(2019/10/8 05:00)
木質バイオマス発電で町おこしに取り組む岡山県真庭市。人口減少に苦しむ地元産業界が、主要産業である製材業や林業の活用を考えた。これが成功事例として注目を集めるまでには幾多の努力があった。
木材集積場の入り口には車両用の積載量計がある。間伐材や製材所から出る切りくずを買い取って燃料チップに加工する。「当初はトラックの荷台に石を敷いてカサ増しする悪質な業者もいた。注意しても改めない業者とは取引を止めた」と施設の責任者。
今では林業を含めて50人を超す雇用を生み、住民に参加意識が芽生えつつある。「『庭木を刈ったから使って』と、軽トラックで持ち込んでくる住民もいる。ガソリン代を引いたら赤字でしょう」と苦笑する。
原子力発電所が立地する福井県高浜町の元助役が、関西電力の幹部らに3億円を超す金品を渡していた問題。巨額のカネが何を目的に動いたのか。工事発注を受ける地元企業は何を考えていたのか。報告書を読んでもよく分からない。日本の原発事業の未来に暗雲が漂う。
汚染の次は汚職とは。消費者の一人として、原発には二度裏切られた感がある。真庭の事例から住民に理解され、歓迎される、手作りの産業振興の貴さを思う。
(2019/10/8 05:00)