(2019/10/11 05:00)
ビジネスマンの働き方が変わるほど、現行制度の矛盾が吹き出す。政府は社会保険のあり方を見直すべきだ。
厚生労働省の2020年度予算の概算要求は、重点政策の筆頭に「多様な就労・社会参加の促進」を掲げている。前年度に続いて長時間労働の是正や高齢者の就労、女性活躍や外国人材受け入れなどの働き方改革への意欲を示したといえる。
働き方改革の本質は多様な就労を認めることだ。かつて大手企業に勤めるビジネスマンの兼業は、作家や芸能人など一部の例外を除いてタブー視されてきた。しかし近年では一定のルールを設けた上で副業を認める動きが強まっている。
定年後に就業時間を短縮して企業に残る高齢者は、豊富な経験を生かしてアドバイザーや講師などで副業収入を得るケースが今後、増えてこよう。また高齢者に限らず、小説サイトの投稿作品が出版されるケースや、動画サイトの投稿作品から広告収入を得る“ユーチューバー”なども社会一般に認知されるようになった。
個人で複数の収入がある場合、税については確定申告をする。納税者の6人に1人が利用している。しかし健保や年金では、こうした仕組みが十分に用意されていない。
例えばベテランのビジネスマンが、副業としてスタートアップ企業の社外役員を引き受けたとする。少額でも役員報酬があれば、年金機構に届け出て保険料を再計算し、両方の健保組合にあん分して納付しなければならない。これが果たして認知されているだろうか。
まして講師謝金や出版の印税などの個人収入は、いかに多額でも社会保険には反映しない。そもそも企業単位の健保は給与収入以外から保険料を受け取れない。現行の社会保険の“抜け穴”であり、制度の矛盾だ。
マイナンバー制度が導入され、個人の収入が把握できるようになった。しかし社会保険に実質収入を加味する制度がなければ、納付を求めることも出来ない。政府は合理的な社会保険制度改革に着手すべきだ。
(2019/10/11 05:00)
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