産業春秋/悲願のノーベル経済学賞

(2019/10/16 05:00)

今年もノーベル化学賞を吉野彰氏が受賞、今世紀の受賞者数で米国に次ぐ日本は自然科学分野での存在感を示した。しかし、ノーベル賞の中で経済学賞だけはいまだに日本人受賞者がおらず、悲願となっている。

ノーベル経済学賞は、アルフレッド・ノーベルの遺言に基づく医学・生理学賞、物理学賞、化学賞、文学賞、平和賞と異なり、スウェーデン国立銀行が創業300年を記念して、1968年に創設した。正式名称は「アルフレッド・ノーベル記念経済学スウェーデン国立銀行賞」。

他の賞と成り立ちこそ違うが、ノーベル財団が認定しており、授賞式は他の賞と同様に行われる。歴代の受賞者には近代経済学の第一人者ポール・サミュエルソンなど米国の有名大学出身者が名を連ねる。

日本人受賞者ゼロの背景には、経済学の中心が第二次大戦後は米国であり、米国を研究の場としていたかどうかが重要な鍵を握るという説がある。今年の受賞者3人もハーバード大学やマサチューセッツ工科大学の教授だ。

少子化に加えて若者が海外に出るのを敬遠する傾向にある日本。経済学に限らず、研究を志す人は「執着心、あきらめない気持ちが必要だ」という吉野氏の言葉を胸に刻んで挑戦してほしい。

(2019/10/16 05:00)

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