(2019/10/28 05:00)
北九州市が中小製造業の生産性向上を目的に設立した「システムインテグレータ・ネットワーク」が始動した。産業用ロボットなど先進技術導入時にシステム構築を手助けするシステムインテグレーター(SIer=エスアイヤー)のネットワークをつくり、課題解決やビジネスモデルの創出を目指す。九州初の取り組みとして注目されている。
SIerネットワークは北九州市と北九州産業学術推進機構(FAIS)が進める、中小企業へのロボット設備導入支援事業。経済産業省の「2018年度地域中核企業創出・支援事業」を活用し、地域のSIerネットワークによる協業体制構築や先進技術導入モデルの創出を目指す。18年度に発足し、今年9月、新たに4社が参加して合計13社で活動が本格化した。
最大の狙いは人手不足への対応だ。中小企業、特に製造業の多くは人材不足が深刻で、従業員の高齢化も進んでいる。特に大卒や高卒の若手技術者の採用はますます難しくなっている。課題解決には外国人雇用やロボットを使った生産性向上しか道はないといわれる。
だがロボットは家電製品と異なり購入即活用とはいかない。動かすためにはティーチング(教示)と呼ばれるプログラミング作業が必要になる。また、このための操作教育や工場内レイアウトの見直し、周辺装置との連携などが煩雑で、ロボット導入の足かせになっている。同市とSIerネットワークはこれらの課題を共同で克服する。
本年度は11月にタイで開かれる国際機械展示会と、東京・ビッグサイトの国際ロボット展(12月開催)に共同出展して取り組みを告知、会員増と販路拡大を目指す。すでに地元菓子メーカー2社の生産ライン効率化に取り組んでいる。
高額で操作も煩雑な産業用ロボットの導入をためらう経営者は少なくない。だが雇用が難しいのであれば挑戦する価値はあろう。SIerネットワークはさまざまな手助けをしてくれる。座して待つのではなく、悩むならまずは相談してみよう。
(2019/10/28 05:00)