(2019/11/8 05:00)
新たな技術やサービスを社会に普及し市場を攻略するには、ルール形成の巧拙がものを言う。産業界は企業競争力に直結する標準化の重要性を認識し、これを担う人材を育てることが急務である。
国際標準を取り巻く環境は刻々と変わっている。節目となったのは、1995年に世界貿易機関(WTO)の「貿易の技術的障害に関する協定」が発効し、工業製品などの規格に国際標準への適合が要求されるようになったことだが、これに匹敵する新たな波が押し寄せている。
IoT(モノのインターネット)の進展により、相互接続で機能を発揮する機器が普及し、システム志向が強まっている。モノづくりだけでなくサービス分野においても標準化の持つ意味は大きくなった。例えば公共施設や介護現場で普及するサービスロボットは、不特定多数の人を利用対象とするだけに、いかに安全に共存するかという視点が問われる。シェアサービスにおいても安心して利用してもらうためのルールを定め、これを国際標準とする動きもある。
ところが、ルール形成への日本企業の意識は決して高いとはいえない。国は最高標準化戦略責任者(チーフ・スタンダード・オフィサー、CSO)の設置を働きかけるが、70社程度にとどまっている。経済産業省の調査によると、国際標準化機構(ISO)や国際電気標準会議(IEC)で中心的な役割を果たす参加者の年齢構成の割合は韓国の場合、40代以下が約半数を占めるのに対し、日本はわずか5%。世代交代が進んでいない実情が垣間見える。一方で近年、存在感を発揮する中国は40代以下の割合が6割に上る。
専門的な知識だけでなく、人脈や交渉力が問われる標準化人材は一朝一夕には育たない。企業関係者のひとりは「委員会活動などを通じ、いかに汗をかいてきたかが問われる世界」と指摘する。まずは若手を国際的な議論の場に積極的に参加させ、長い目で経験を積ませると同時に、事業戦略として国際標準を明確に位置づけ、経営資源を投じたい。
(2019/11/8 05:00)
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