(2019/11/21 05:00)
日本労働組合総連合会(連合)は結成30年を迎えた。3期目に入った神津里季生会長は「いろいろあってもまとまりを強固にしてきた意義は大きい」と語る。しかし、連合の組織力は低下し、賃上げや働き方改革など労働環境改善の主導権は政府に握られている。30年を一区切りに、パートや派遣労働者など非正規社員や高齢労働者を見据えた新「ナショナルセンター」として再出発すべきだ。
連合は1989年に官公庁労組を中心とする旧社会党系の日本労働組合総評議会(総評)と、旧民社党系の全日本労働総同盟(同盟)などの民間労組4団体が大同団結し発足した。発足2年目に808万人組合員と総労働組合員1200万人の3分の2を占めた。組織票を背景に大きな政治的発言力も有し、93年の非自民系の細川連立政権、09年の民主党政権の誕生を後押しした。
一方で、自動車や電機など大手メーカーの製造拠点の海外流出や非正規社員の増加、若者の組合活動の敬遠などから07年には664万人にまで落ち込んだ。現在は700万人を回復したが、従業員100人未満の中小企業の組織率は1%を切っており、「1000万人連合」の目標にはほど遠い。
正社員も年功序列は崩れ、基本給の引き上げ(ベア)の概念は形骸化しつつある。急増する高齢労働者や外国人労働者とどう協調していくのかといった新たな課題にも直面している。
本来、経済・行財政改革は政府と企業、労働組合との政労使合意に基づいて行われるべきである。安倍政権下で連合は、賃上げ目標を政府が掲げるという屈辱を受けた。政府の全世代型社会保障検討会議にも参加しておらず、今後の政策決定への関与は薄まると言わざるを得ない。
連合は今後もナショナルセンターとしての役割を担えるのか。そのためには「大企業の正社員クラブ」から、雇用者の約7割を占める中小企業労働者、約6割の非正規社員、「人生100年時代」で急増する高齢労働者に寄り添った運動を展開できるかが試金石となる。
(2019/11/21 05:00)
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