(2019/12/10 05:00)
日本におけるカジノを含む統合型リゾート(IR)の方向性を示す事業となるべきだ。
大阪府・大阪市が、IR実施方針案を、他の自治体に先駆けて公表した。12月中に事業者の公募を開始し、2020年6月にも1事業者を決定する。国は21年に最大3カ所のIRを認定する方針。大阪はそのなかで最有力候補であり、実施内容は日本のIRの将来を大きく左右する。それだけに、地域経済との相乗効果を創出する計画となるかが問われている。
IRはカジノや豪華な宿泊施設のイメージが強いが、国際会議や大型展示会を開催できる世界水準のMICE(会合・報奨旅行・国際会議・イベント)施設の設置も条件となる。MICEはビジネス会合を前提としており、観光目的にはない付加価値をもたらすものとして、各国が力を入れている。
大阪のIR候補地は25年に開催する「大阪・関西万博」の会場と同じ夢洲(大阪市此花区)で、万博前の開業を目指している。大阪府・市は方針案で、MICE施設として国際会議場は6000人以上の収容、展示施設は面積10万平方メートル以上の規模とした。現在、大阪の既存施設は、6月に主要20カ国・地域首脳会議(G20)を開催した「インテックス大阪」(大阪市住之江区)があるが、展示面積が約7万平方メートルで施設の老朽化も目立つ。
MICEは世界的に市場が拡大しており、中でもアジアの需要は高い。すでに中国や韓国、シンガポールが、大型施設を武器に誘致を本格化させている。日本で開催される国際会議、展示会も東京での開催が圧倒的。大阪・夢洲に大型のMICE施設ができれば、地域経済の活性化にも資するものとなる。
大阪でのIR参入を希望する事業者3者は、1兆円もの投資計画を表明している。地域経済にとって大きなインパクトをもたらす。大阪府・市は今後の事業者選定において、MICEの設置計画や活用方針が、地域経済の振興につながる実効性のあるものとなっているかを念頭に、審査をしてもらいたい。
(2019/12/10 05:00)
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