(2019/12/12 05:00)
太陽光パネルの大量廃棄時代を見据え、再資源化に結びつく仕組みを早期に確立すべきだ。
太陽光発電事業者を対象にパネル処理費用の外部積立制度が始まる。設備寿命による廃棄量のピークは2036年頃とみられるが、災害や投資環境の変化で前倒しになる可能性もある。パネルの不法投棄や放置を防ぎ、低コストな再資源化の制度整備を急ぎたい。
経済産業省・資源エネルギー庁は20年度末までに再生可能エネルギー特別措置法を改正、22年7月の積み立て開始に備える。送配電事業者が再生エネ固定価格買い取り制度(FIT)認定事業者(10キロワット以上)の売電収入から積立金を毎月差し引く。積立金は電力の需給調整を担う電力広域的運営推進機関が管理し、発電事業者がパネル処理時に払い戻しを受けて充当する。FIT認定期間(20年間)の後半10年間に積み立てる。
現在は内部積み立てが義務化されているが、実施率は2割に満たず制度が機能していない。上場企業などを除き原則、外部積み立てにし、パネル処理を確かなものにする。
課題は制度の周知と悪用の防止だ。事業者にとっては積み立て額が経営を圧迫する要因ともなる。事業者の予見可能性を高めるためにも、制度の骨格を早期に固める必要がある。
一方、投機目的で参入した事業者の中には制度を逆手に取って積み立て開始前に設備を高値で売却するケースも考えられる。積み立て状況を含め情報開示を徹底するルールが必要だ。
リサイクル技術の確立や広域収集システムの整備も欠かせない。重量比でパネルの約6割を占めるガラスは安価なためリサイクルの経済性が低い。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、23年度に処理費用を1ワット3円以下に抑える目標を掲げ、企業と共同でガラスをリサイクルしやすい状態で回収する技術の開発を進めている。
パネル廃棄量は36年に最大約28万トン(20年は約0・3万トン)に達する見込みだが、災害や売電収入の低下で廃パネルが急増する事態も想定しておきたい。
(2019/12/12 05:00)
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