(2019/12/17 05:00)
日本は2020年からのパリ協定本番で実績を示せ。
気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)は会期を2日延長したが、参加国の対立が解消されないまま15日閉幕した。温暖化対策の国際ルール「パリ協定」は2020年、スタートする。“環境後進国”のレッテルをはられた日本は、パリ協定の本番で挽回してほしい。
スペインで開かれたCOP25では、議長国・チリが各国に温室効果ガス削減目標の引き上げを求める成果文書案を示したが、異常気象の被害を受けている島しょ国などが「表現が弱い」と反発。排出量の多い中国やインドなど新興国が目標強化を嫌った。他国の排出削減に貢献した成果を自国の削減実績にするルールづくりも紛糾した。削減量の二重計上を認めない案に対し、ブラジルとインドが反対し、交渉は手詰まりとなった。
成果文書は、20年に各国が可能な限り目標を引き上げる「努力目標」で決着。ルールづくりは20年の英国でのCOP26に持ち越しとなった。
遅々として進まなかった議論から、新しい対立の構図も見えてきた。以前は資金援助を求める途上国と、拒む先進国の衝突だった。今は途上国と新興国の主張に隔たりがあり、意見が多様化、複雑化してきた。
米国がパリ協定からの離脱手続き中で、主導力を発揮する国が不在だった。代わって日本に調整役を担ってほしかった。小泉進次郎環境相も就任当初は「日本がリーダーシップをとる」と述べていたが、COP25でその役割を果たせたとは言えまい。逆に日本は温暖化対策に消極的な国として批判を浴びた。COPでの議論が脱石炭火力発電の是非のみに集中したことは解せない。日本は石炭火力の高効率化など、世界に貢献する姿勢をもっと主張すべきだった。
COP25は成果に乏しかったが、パリ協定の運用ルールはほぼ完成している。20年、産業革命前から気温上昇を2度未満に抑えるパリ協定の目標達成に向け、世界は動きだす。日本は着実な削減実績を示し、リーダーシップを発揮してほしい。
(2019/12/17 05:00)
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