(2019/12/19 05:00)
関西電力の原発立地にまつわる闇の深さがうかがわれる。
関電役員らが福井県高浜町の元助役から多額の金品を受けとっていた問題を調査する第三者委員会の調査報告書の提出が、越年となった。公共性の高いエネルギー事業者である関電に、長い経営の空白を生じさせるのは賢明ではない。真相解明と新体制への刷新は分けて考えるべきだ。
但木敬一委員長(元検事総長)は「調査を進めると奥深い問題が出てきた。それをやる(真相解明)には手数がかかる。2019年度(20年3月)中に結論を出せるかも約束できない」と述べ、調査の難航を認めた。
第三者委は関電の依頼を受け、但木氏を加え計4人の弁護士で10月9日に設置された。これまでの約2カ月間、約20人の若手弁護士らが実動部隊として関電関係者など約700人超にヒアリングや書面調査などを行ってきた。ホットラインも設け退職者を含め、多くの情報収集を行い、電子メールの分析なども加えて幅広い調査を展開中だ。
調査事項は主に三つ。関電の高浜原子力発電所を巡る工事発注で、元助役が特定の地元業者へ便宜を図っていた問題、類似する事案が他の原発立地にないか、役員らの金品受領で社内調査を行いながら公表していなかった会社の対応だ。
但木氏は調査の進捗(しんちょく)状況を「量的に5合目を超えたが、質的には分からない」とする。但木氏が指摘する「奥深い問題」は会見で明かされなかったが、複雑な資金の流れや、電力会社と立地自治体との不透明な関係性など、不法行為の可能性も考えられる。ガバナンス(企業統治)上や倫理面から見て問題行動をとった関電役員らの調査は徹底して行うべきだ。
調査報告が出ない限り、関電の活動が制約される。ただ、関電は岩根茂樹社長の後継を決め、新経営陣への移行を早期に進めるべきだ。エネルギー事業の活動に滞りがあってはならない。
時間はあるようでない。第三者委は改めてそう認識し、真相解明にあたってほしい。
(2019/12/19 05:00)
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