(2019/12/26 05:00)
中国を自由貿易に組み込む流れを加速させたい。
日本の安倍晋三首相、中国の李克強首相、韓国の文在寅大統領による3カ国首脳会談が24日開催され、日中韓自由貿易協定(FTA)や東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の推進で一致した。中国を多国間の枠組みに参加させることは、世界の自由貿易体制を維持発展させるためにも大きな意義がある。
3カ国はまず、RCEPについて、加盟16カ国による早期の署名を目指す。RCEPはインドが高水準の関税撤廃に難色を示しているが、今回RCEPの中の主要国である日中韓が推進で合意したことは、インドを説得する後押しともなる。
まずRCEPをまとめ、さらに日中韓FTAへの流れも加速させたい。
日本にとって中国は最大の輸出入相手国、韓国は3位の輸出相手国である。貿易の規模だけでなく、電子機器、自動車、機械などあらゆる産業において、グローバルなサプライチェーンを形成している。量も質においても、切っても切れない関係だ。FTA締結で相互の関税を引き下げることは、それぞれの国にとって恩恵が及ぶことは間違いない。
今回、中国が貿易協定に前向きな姿勢を見せた背景に、米国との貿易摩擦があることは明らかだ。米国による中国デカップリング(切り離し)論がしきりに唱えられているが、中国を孤立させることは、世界経済にとっても決して得策ではない。
中国も独自の経済圏構想「一帯一路」を掲げたが、投資対象の不良債権化など、十分な成果をあげられていないことを認識しつつある。今回の日中韓首脳会談は、中国を多国間の自由貿易体制へと促す好機となった。
今後の交渉では、中国にどこまで高いレベルの関税撤廃を認めさせるか、日本の国内産業へのリスク要因の洗い出しなど課題も多い。日本は米国との関係を維持しつつも、アジアの自由貿易経済圏の構築実現へ役割を担ってもらいたい。それが保護主義が台頭する世界経済の流れを押しとどめる契機にもなる。
(2019/12/26 05:00)
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