(2020/1/1 05:00)
あけましておめでとうございます。読者諸兄姉は、良き初春をお迎えでしょうか。都会の年末の騒がしさが一夜にして改まり、正月のすがすがしさを感じさせるのは、どこか不思議な気もいたします。
いったい何が変わるのだろうか―という問いは古来、多くの詩人の心を刺激してきました。高浜虚子の句「去年今年(こぞことし)貫く棒の如きもの」が、よく知られています。
中国・中唐の元稹(げんしん)の『歳日』も年改まる日を詠じた漢詩です。「一日、今年始まる/一年、前事は空(むな)し」―新しい年が始まった。しかし振り返れば1年は空しく感じられる。この詩は「100年たっても同じように空しいのではないか」と結びます。
「年年歳歳、花相似たり」の名句も同じですが、詩文は必ずしも文字通りに受け取るものではありません。無常なるものを際立たせるため、不変なるものを強調する文章上のテクニックと解釈できます。
イノベーションが重視される現代社会。去年今年が「空し」のままの企業であっては、時代に落後しかねません。「貫く棒の如きもの」は、常に変革に挑む意志でありたい。「年年歳歳」、人も企業も良き方向へ変化していきたいものです。読者諸兄姉の本年のご活躍を祈念いたします。
(2020/1/1 05:00)