(2020/1/3 05:00)
2020年の日本経済は、世界経済の減速を受けて輸出が低迷する中、個人消費や設備投資などの内需がけん引する形で緩やかながら成長軌道をたどる見込みだ。
今年の景気押し上げ要因は、何といっても東京五輪・パラリンピック。テレビの買い替え需要をはじめ、観戦のための国内旅行や外国人訪日客の増加が消費を拡大するだろう。
政府による大型の経済対策も大きい。成長分野への投資、自然災害対策を含むインフラ投資に加えて、景気下支えのための中小・小規模事業者の生産性への補助金などの効果が期待される。民間の設備投資意欲が引き続きおう盛なことも心強い。
半面、リスク要因としてあげられるのが米中貿易摩擦だ。両国が通商交渉の第1段階で合意し、米国が追加関税の発動を見送るなど摩擦を緩和する動きもあり、先行きは見通しにくい。とはいえ摩擦の背景には米中の覇権争いの側面があるため、再燃する恐れが大きい。
政府は昨年12月の月例経済報告で「製造業を中心に弱さが増している」との表現を付け加える一方、「緩やかに回復している」との景気認識を継続した。20年度の政府経済見通しでは実質国内総生産(GDP)成長率を1・4%と見込む。これは民間シンクタンクの平均的な予想である0・5%程度を大幅に上回る水準だ。
今年は米国大統領選の年。再選を狙うトランプ大統領が拡張的な財政政策と保護主義的な通商政策を強化するようだと、世界経済の新たな波乱要因となろう。また金融緩和が長期間続いた結果として、世界的に株価が上昇してバブル気味になっていることも気がかりだ。
産業界には、人手不足を補う設備投資や人材開発、研究開発に加え、新産業創出など新たな分野への設備投資を積極化することを期待する。一方、政府にはビッグデータ(大量データ)、人工知能(AI)などを活用した超スマート社会「ソサエティー5・0」の実現を後押しすると同時に、内需の着実な成長を促す施策をお願いしたい。
(2020/1/3 05:00)
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