(2020/1/6 05:00)
不振にあえぐ日産自動車の再建を任されたカルロス・ゴーン氏を、来日直後に間近で見る機会があった。記者に取り囲まれるなかで、自身の考えをとうとうとまくし立てていた。
小柄だがエネルギーの塊のような姿に「日産の再建にはこのぐらい異質な人の方がいいのかもしれない」と思わせる何かがあった。いわゆるカリスマ性というものだったのかもしれない。
その後の日産復活へのゴーン氏の貢献は誰もが認めるところだ。それがなぜこんなことになってしまったのか。氏は今や国外逃亡中である。日本の司法制度への疑念があり、これから自身の身の潔白を主張していくという。
自分の思いを、どんな手段を使っても実現させていくという点では、日産の再建も、今回の逃亡劇も同じように見える。しかし、その情熱は“我欲”がなせる技だったのか。何にせよ、国際的なビジネスマンとしての地位は地に落ちた。まともな企業であれば彼を経営者として迎え入れることはない。
日本は今日が事実上の仕事始め。新年のあいさつのあちらこちらで彼の話題が出るだろう。堕(お)ちたカリスマの姿は、あらためて経営者に求められる資質とは何かを考えさせた。多くの経営者にその答えを聞いてみたい。
(2020/1/6 05:00)