(2020/1/6 05:00)
中国や韓国が合理的な判断をできるよう、日本が主導権を発揮することが望ましい。
東アジアは日本の近隣というだけでなく、世界的にも二つの面から注目されている。
第一に経済の面。中国の成長は減速したとはいえ、なお巨大国家とは思えないほど高い伸びを続けている。東南アジア諸国やインドなどの隣接する新興国との通商も活発で、東アジアが世界経済をけん引する存在なのは2020年も変わらない。
第二に安全保障の面。北朝鮮の核問題と周辺国への挑発は日本にとって重大かつ差し迫った脅威だ。軍備拡張を続ける中国は、その内容が不透明である分、地域の安定を損ねている。
北朝鮮と直接対峙(たいじ)する韓国は、伝統的な陸軍主体の軍事力から海空を重視する姿勢に転じた。日本も防衛力を拡張している。各国間には複雑な利害関係があり、放置すれば“世界の火薬庫”になりかねない。
こうした混迷を打開し、東アジアに平和と発展をもたらすためには、通商政策でも安全保障でも、各国が国際ルールに沿った合理的行動をとることが第一だ。その突破口となるのが経済関係である。
日中韓が東南アジア諸国やインド、豪州などと進めてきた東アジア地域包括的経済連携(RCEP)は昨年、協議の終了を確認し、今年は各国の署名に向けた精査に入る。なお曲折が予想されるが、重要なのは早期合意とともに協定のレベルを下げないことだ。開かれた互恵的な連携関係は通商の発展につながるだけでなく、情報公開を促し、平和の礎になる。
これとは別に日韓間には歴史問題があり、関係修復を困難にしている。両国は従来、通商の実利を優先してきたが、今後は事実関係と国際法に基づく判断が重要になろう。まずは韓国が両国間の協定に違反している状態を改善してほしい。
昨年末、中国で開いた日中韓3カ国の首脳会談では、北朝鮮など複数の問題で協調を確認した。20年は、この関係を発展するべく日本が各国をリードすることを期待する。
(2020/1/6 05:00)