(2020/1/7 05:00)
五輪イヤーが幕を開けた。人や車の混雑緩和は大会運営だけでなく、防災・減災対策にも有効だ。万全の態勢で世紀の祭典に臨みたい。
東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の推計によると、国内外から会場を訪れる観客や要員は延べ1000万人以上に上る。道路や公共交通機関の混雑緩和は、円滑な大会運営だけでなく、自然災害による大都市特有の被害の軽減に役立つ。
問題は企業の協力を得ること。東京都は来訪者が移動するピークを午前8時から同10時とみて、企業に時差出勤やテレワークの実施、納品・集荷日の変更、サプライチェーン全体の夜間シフトなどを促している。
大会期間は五輪(7月24日―8月9日)だけで17日間、パラリンピックを含めると30日間に及ぶ。都や組織委員会などが運営する「2020TDM推進プロジェクト」は、道路と鉄道の混雑状況について日別・時間ごとの予測をサイトに公表している。企業は生産性を落とさない効率的な行動計画の作成に活用してほしい。それは事業継続計画(BCP)のリスクを洗い出す効果もある。
最大の課題は物流の「五輪シフト」をどう促進するかにある。都が19年夏の「スムーズビズ推進期間」の実施状況を企業に尋ねたところ、「モノの流れ」は「人の流れ」よりシフトが難しく、企業規模が小さくなるほど実施割合は低い。都は19年度補正予算で中小企業にコンサルタントを派遣し、物流改革とともにシフトを後押しする。サプライチェーンの頂点にいる大企業も、関連企業や取引先に対して協力を促す側に回りたい。
人の流れでも中小企業の実施割合は低い。東京ガスとJR東日本は「午前8時台の10%混雑緩和」を目標にJR浜松町駅周辺の企業を訪問し、時差出勤への協力を呼びかけている。こうした地道な取り組みが広がることを期待したい。
過密都市での混雑緩和は、国土強靭化のためのソフト対策を構築する格好の機会になる。五輪レガシーにすべきだ。
(2020/1/7 05:00)
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