(2020/1/8 05:00)
人手不足に悩む中小企業にとって、女性とシニアの活用が重要だ。人材定着へさまざまな知恵を絞ってもらいたい。
2015年の国勢調査で1億2709万人だった日本の人口が減り続けている。高齢社会白書は、55年に1億人を割り9744万人、65年には9000万人を切ると推計。また、人口のなかで65歳以上が占める割合は65年には38・4%に増えると予想。
国立社会保障・人口問題研究所によると、生産年齢人口(15歳以上65歳未満)は、15年時点で7728万人だったのが、40年には5885万人、65年には4147万―4950万人に減少するという。そのなかで伸びしろがあるのが、女性とシニア層の労働参加だ。
人口減少・高齢化の影響は既に現実化している。帝国データバンクによると、18年の企業倒産の全体件数が前年を下回ったにもかかわらず、人手不足によって倒産した企業は過去最多の153件にのぼった。
中小企業の人材確保はますます難しくなるが、打つ手がないわけではない。中小企業研究センターが、技能人材の採用活動に関する調査を行い、人材の定着に工夫を凝らす中小企業を紹介している。
社長が自ら学校訪問をして中小企業の良さを紹介する出前講座を行ったり、テレワークを13年と早い時期から導入し、育児や介護を抱える社員に働きやすい環境を提供しているところなど、それぞれ独自の取り組みで、採用とその後の定着を実現させている。
中小企業だからこそできる知恵と工夫があるはずだ。経営者は現状を嘆くよりも、自ら動きだしてもらいたい。
国は全世代型社会保障検討会議で、高齢者の就業機会の確保や、従業員50人超の企業まで厚生年金の適用範囲を拡大させるなど、主にシニアや女性が働くための制度整備を進めている。
中小企業にとって負担が増える面もあるが、同時に生産性向上へのさまざまな支援策も講じられる。人材の確保と定着へ、国の施策と自社の創意工夫の両建てで取り組んでもらいたい。
(2020/1/8 05:00)
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