(2020/1/9 05:00)
中東情勢は予断を許さない状況だ。政府は現地進出企業や在留邦人の安全確保に全力を挙げてもらいたい。同時に日本は中東に原油の87%を依存している。改めてエネルギー安全保障の重要性を認識し、日本がとるべき方策を加速させるべきだ。
米国とイランの対立は、報復の連鎖を回避すべく、まず両国間で沈静化への努力がなされるべきだ。また、それぞれの国に独自のパイプを持つ日本の役割も重要だ。争いの激化は、立ち直りかけた世界経済に多大なダメージをもたらす。関係国が最大限の努力で事態を打開してもらいたい。
一方、今回の事態を踏まえ、日本のエネルギー安全保障が危機的状況にあることを再認識するべきだ。エネルギー資源の中東依存度の引き下げ、エネルギー自給率の引き上げ、脱炭素を、合理的なコストで実現させることが求められる。
中東依存度の引き下げには、ロシアや米国など、産油・産ガス国との協力関係が重要になる。ただ、資源を輸入に頼ることに変わりはなく、新たなリスクを抱えることにもなる。
日本が最も力をそそぐべきは、約10%に低迷しているエネ自給率の拡大である。
そのためには、準国産エネルギーである原子力発電について、原子力規制委員会が新規制基準で審査し、許可した原発の再稼働を着実に進めていくべきだ。実行には、立地自治体・住民の理解を得る不断の努力が求められる。また、新型炉の早期導入も必要だ。
一方、再生可能エネルギーの主力電源化も加速させたい。太陽光発電の発電コストは大幅に低下しているが、送配電網の活用で利害も発生している。再生可能エネ事業者の投資意欲を損ねることなく、安定供給を実現する仕組みを早期に作り上げてもらいたい。再生エネの主力電源化は、脱炭素の推進にも直結する。
エネルギーは、国民生活や産業にとって最重要基盤である。世界情勢に左右されない安定供給の実現を早期に確立してもらいたい。
(2020/1/9 05:00)
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