(2020/1/14 05:00)
地方創生の実現には、東京に集中する人材に、地方で活躍する場を提供することが重要だ。地域の金融機関にその役割を担ってもらいたい。
東京一極集中の是正へ、政府は東京圏(東京、神奈川、千葉、埼玉の1都3県)から地方へ転出する人口と、地方から東京圏へ転入する人口を同じにする目標を掲げる。しかし、2018年の東京圏への転入超過数は約13万6000人で、東京圏への人口集中は止まらない。
そこで、19年末に閣議決定した第2期(20―24年度)「まち・ひと・しごと創生総合戦略」で、「関係人口」という概念を加えた。「最初から一気に移住は難しい。まずは地域と縁を結ぶ関係をつくり、地方への人の流れをより大きなものにする」(北村誠吾地方創生担当相)。例えば週に1回、数時間といった兼業・副業で地方に親しんでもらう考えだ。政府は20年度予算案に、交通費を支援する補助制度の創設を盛り込んだ。
東京圏で働く人の中でも、都会の騒がしさを離れて、豊かな自然の中でのびのびテレワークをしたいといった人は少なくない。一方、地方にある企業は人手不足に苦しみ、デジタル化対応など新しい技術を導入したくても、ノウハウを持つ人材を得られないでいる。関係人口と位置づけた新たな人材を、こうした地方の企業に結び付けられれば、働く人、企業双方に有効な施策となる可能性が高い。
重要なのはマッチング機能だ。政府は地方銀行に加え、信用金庫、信用組合など、より地域に密着した金融機関にその役割を期待している。中堅から中小零細まで、より幅広い企業のなかから、意欲のある企業を見つけ出し、関係人材とのマッチングを実現させる。金融機関にとっても、成長する可能性が高まった企業に対し、担保に頼らず将来性などの事業性評価に基づく融資を実行することにもつながる。
地方創生を実現する上で、地方への人口移動は最重要テーマである。国・地方・自治体・企業が連携し、実効性のある取り組みとなることを期待したい。
(2020/1/14 05:00)
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