産業春秋/パンドラの箱

(2020/1/15 05:00)

英国が欧州連合(EU)離脱を決めた国民投票から約3年半。いよいよ1月末に同国はEUを去る。離脱が決まった直後、よく言われたのは、英国はあらゆる災いの詰まった“パンドラの箱”を開けたという神話の言葉だ。

災いが顕在化するのはこれからだが、兆しはある。2019年末の総選挙でEU残留派で、英国からの独立を目指す地域政党スコットランド民族党が、改選前の35議席から48議席へと議席数を大幅に伸ばした。同党は早速、英国からの独立の是非を問う住民投票の実施に意欲を示す。

アイルランドの国境問題も火種。ジョンソン首相がEUと合意した離脱協定案では、英領北アイルランドは事実上、EUの関税同盟にとどまる。同地域が英国から独立してアイルランドと統一する機運が高まりかねない。

離脱問題がパンドラの箱である点はEUも同じ。英国は離脱後に大胆な規制緩和で“テムズ川のシンガポール”を目指すという。仮に成功すると、EUの加盟国の中から離脱の方が得策と思う国が出てもおかしくない。

神話では、箱は開いたものの急いで閉めたので最後に「希望」が残ったとされる。現代のパンドラの箱は3年半開きっぱなし。果たして何が残っているだろうか。

(2020/1/15 05:00)

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