(2020/1/15 05:00)
経営トップにとって、ガバナンス改革は永遠の課題。その大きな要素を占めるのが取締役会のあり方だ。
社外取締役の設置義務などを定めた改正会社法が昨年12月に成立し、2021年春にも施行される。監査役会を置き「資本金5億円以上または負債総額200億円以上」などの条件に該当する企業が義務化の対象だ。
企業統治の指針であるコーポレートガバナンス・コードに基づき、すでに東証上場企業の9割強が社外取締役を設置している。第三者による監督・助言の必要性は広く認識されてきたが、それが効果を発揮しないケースが後を絶たないのは、なぜだろうか。
いくつかの要素がある。ひとつは社外取締役に何を求めるかが不明確なことだろう。企業が「社外取締役の設置義務を押しつけられただけ」という受け身の姿勢だと、取締役会は活性化しない。極端な例では、官庁などの出身者が後輩にポストを引き継ぐことを考えて発言を控えることすらあるようだ。
また社外取締役は常に需要に供給が追い付かず、複数の企業を兼務する事例が散見される。就任の依頼を受ける側も、どのくらい力を割くかが分かっていない。これも制度が未成熟なためだろう。
実際の経営の監督にあたり、社外取締役の意見がどこまで反映されるかも企業によってさまざまだ。社外取締役が取締役会議長を務めるなど、執行役へのけん制力を強める工夫も検討する価値がある。
経営学の立場から企業行動を分析している菊沢研宗慶応義塾大学教授は「制度を整えても、合法的ではあるが不適切なことをする人は出てくる」と、第三者による監督機能強化だけでは不祥事は防げないと主張する。その上で「経営トップの資質が大事。業績評価だけで後継者を選んではいけない」と説く。
取締役会がどんな形態を取っても、その機能をトップが生かさなければ効果は発揮できない。ガバナンス改革に近道はないことを心に刻み、企業価値の向上に努めたい。
(2020/1/15 05:00)
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