(2020/1/17 05:00)
昨年12月、都市災害研究の第一人者、関西大学特別任命教授の河田恵昭氏が保有する自然災害の関連資料約3000点を収納した資料室が「人と防災未来センター」(神戸市中央区)に設けられた。「河田文庫」と称し、学術論文に加え、河田氏がコメントを寄せた雑誌など多彩な資料を閲覧できる。
人と防災未来センターは「阪神・淡路大震災」を中心に災害の実態や教訓を体験的に学べる施設だ。兵庫県が2002年に設置し、センター長を河田氏がずっと務める。今日、阪神・淡路大震災発生から25年を迎える中、河田文庫は実現した。
河田氏が都市災害研究を始めたのは86年、40歳の時。阪神・淡路大震災が起こる9年前だ。「1000人以上が亡くなる都市災害が起こる」と仮説を立て、新たな研究テーマに選んだ。
そして「研究していたことが(阪神・淡路大震災で)実際に起こった」。「防災研究は人的被害や経済被害を減らす、社会に役立つものでなければ」との意を強めた。
国難災害に備える、防災省の創設も国に提言する河田氏。「南海トラフや首都直下の地震など、嫌な事は起こらないと人は考えたがるが、しつこく言っていく」。防災力向上へ、研究者魂は73歳の今も衰えない。
(2020/1/17 05:00)