(2020/1/17 05:00)
米国と中国が貿易協議第1段階で合意した。両大国が対立激化に歯止めをかけたことは、世界経済にとって大きな意義がある。ただこれは、あくまで一時休戦であり、両国の経済・先端技術をめぐる覇権争いは長期化を覚悟する必要がある。
今回の合意で、中国は今後2年間で米国からの輸入額を2000億ドル(約22兆円)増やす。同時に知的財産権の保護や技術移転の強制の禁止などでも合意した。米国は1カ月内にも、2019年9月に課した制裁関税の関税率を15%から7・5%に引き下げる。
ただ、18年以降に課したハイテク分野などの制裁関税については、25%のままで維持した。さらに、中国政府による企業への産業補助金問題については、解決を先送りした。
米側からみれば、今回の第1段階の合意は、11月の大統領選を見据えたものなのは間違いない。トランプ大統領は、「世界最大のディールだ」と自画自賛した。一方、中国側の代表である劉鶴副首相は「(米農産品を)市場状況によって購入する」と述べ、合意内容の履行には含みを持たせた。
少なくとも11月まで両国の緊張状態は緩和され、大きな波乱は生じないとみられる。ただ、対立の構図は残されたままだ。特に、デジタル覇権争いは長期化が避けられない。米政府は、第5世代通信「5G」インフラ投資から中国企業を排除。さらに中国と取引のある内外企業を政府調達から締め出すなど、安全保障を盾にしたさまざまな貿易管理策を準備している。
日本の電子機器や情報通信、産業機械などで対米、対中貿易を行う企業にとっても多大な影響が及ぶことが懸念される。「日本企業はいずれ米国か中国かを選ぶ局面に立たされる」と指摘する声もあるが、そういった事態を回避する方向へと進めなければ、日本の立場は厳しいものになる。
国際通貨基金(IMF)は、休戦が世界経済にプラス効果をもたらすとする。世界経済を混乱させぬよう米中両国の賢明な判断を望む。
(2020/1/17 05:00)
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