(2020/1/24 05:00)
昨年末に閣議決定した厚生労働省の2020年度予算案は、総額33兆円に迫る巨額。ただ大半は義務的な社会保障関係費で、個々の新政策の予算は案外、小粒だ。
それでも案件によっては額が膨らむものがある。目を引くのは768億円を計上した「医療情報化支援基金」。マイナンバーカードを健康保険証がわりに使えるようにするための経費だ。
19年度にも300億円を基金に入れており、合計で1068億円。これをシステム構築と、全国の病院・診療所に設置する端末の補助に振り向ける。伸び悩むカード発行枚数を一気に拡大するため、太っ腹な予算を組んだ。
マイナンバーカードは、表面にクレジットカードと同様なICチップを埋め込んでいる。ここに情報を記録すれば多くのサービスが効率化できる。民間企業も利用を切望しているものの、開放のハードルは高い。まず公的医療が先頭打者となる。
8月に仕様を確定し、22年度末までにすべての医療機関にシステムを普及する計画。ICチップのリーダーは必須だから、機器ベンダーにとってちょっとした“特需”かもしれない。せっかくの開発投資なので将来、利用対象を広げられるような柔軟で汎用性の高いシステムにしてほしい。
(2020/1/24 05:00)