(2020/2/6 05:00)
建設業界で技術開発の“協調と競争”が始まる。連携で開発速度を上げ、現場作業者の負担軽減にも役立ててもらいたい。
大手ゼネコンの鹿島と竹中工務店がロボット施工とIoT(モノのインターネット)分野で技術連携し、開発済み技術の相互利用や共同開発に乗り出す。同業他社の参加を視野に入れ、広く建設業界に普及させる。受注でしのぎを削る大手同士の包括的な技術連携は珍しい。新たな試行の成果を着実に出し、技術開発の新潮流にしてほしい。
建設業界は高齢化や人口減少を背景に、将来の担い手確保、働き方改革による週休2日の実現が課題だ。大手各社は現場の生産性向上に向け、建設ロボット、IoTや人工知能(AI)を活用した支援ツールの開発に取り組むが、重複や類似する部分が多い。
実際に現場で使用する協力会社は、各社で異なる操作を習得する負荷が高まり、普及が進まないという課題を抱えていた。そこで大手各社を中心に協調できる開発領域で技術連携の検討が始まり、1年以上かけて鹿島と竹中の意見が一致した。
技術連携は自社の協調・競争分野を分けて推進する。開発済み技術の相互利用として、竹中が鹿島の溶接ロボットを、鹿島が竹中の清掃ロボットをそれぞれの現場に導入する。共同開発では、建設業界でニーズや共通性が高い案件を優先し、場内搬送管理とタワークレーン遠隔操作のシステム開発に着手した。
連携により、重複する技術開発や無駄をなくし、素早い現場導入で生産性を高める。適用した情報は共有し、改良や機能向上に生かして開発期間を短縮する。ロボットが普及して台数が増えれば量産で価格低下につながる。さらに現場の活気や魅力が高まり、入職者が増えるという好循環を狙っている。
これまで各社は技術開発の協調と競争に対して「総論賛成・各論反対」の姿勢があり、具体的な話が進まなかった。大手2社の合意により、業界の技術開発に新たな選択肢が加わる可能性が広がっている。成果に期待したい。
(2020/2/6 05:00)
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