社説/再エネ制度の見直し 競争導入で技術革新加速せよ

(2020/2/11 05:00)

再生可能エネルギーの主力電源化に向け、政府案の骨格が固まった。競争導入を起爆剤に発電事業の高度化を促し、産業活性化につなげたい。

現行の再エネ固定価格買い取り制度(FIT)は、長期買い取り保証のもとで発電事業者は市場取引や電力の過不足調整金(インバランス)負担が免除されるなど、優遇されてきた。その結果、再エネ導入量は急速に拡大したが、国民負担の増大が課題になっている。

経済産業省の委員会がまとめた政府案では、再エネをコスト競争による自立化が可能な「競争電源」(大規模太陽光、風力)と、地産地消や災害対策に資する「地域活用電源」(小規模太陽光、小水力、小規模地熱、バイオマス)に分離し、制度を見直す。

地域活用電源はFITを継続する一方、競争電源は発電事業者が卸市場や相対取引で自由に売電できるフィード・イン・プレミアム(FIP)を2020年度中にも導入する。FIPは売電収入の基準価格(固定)を定めておき、参照価格(一定期間の平均市場価格)との差額をプレミアムとして上乗せする。

太陽光や風力をはじめ、木質バイオマスや小水力でも、海外製の発電機や付帯設備は、安さと実績を強みに国内製に比べ優位にある。FIP導入を機に、FITのもとでは働きにくかった発電コストの低減やインバランス抑制に拍車がかかり、蓄電池や発電機、制御機器などの技術革新や低価格化が期待される。国内関連産業にとっても好機だ。

経産省は、FIP導入や、広域で電力を融通する地域間連系線の増強費用の一部を、全国の利用者から賦課金として回収する制度の創設などを束ねて、電気事業法など関連法の改正案を、今国会に提出する方針。

政府は30年度の電源構成に占める再エネ比率を22―24%(17年度で約16%)とする目標を掲げる。まずは新制度で目標を着実に達成させたい。さらに比率を拡大する方向へ政策を加速させ、電力の安定供給と温暖化ガス排出削減の両立を目指してもらいたい。

(2020/2/11 05:00)

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