(2020/2/12 05:00)
日本の基盤産業である石油化学プラントが設備老朽化に直面している。国際競争力を高めるにはデジタル化が切り札となる。関係省庁が一体となって先進技術を導入しやすいルール整備を急ぐべきだ。
1月末。ドローンを使って石油タンク内部を点検する国の実証試験が、出光興産の千葉事業所(千葉県市原市)で行われた。石油化学プラントにおけるドローン活用は、2019年に国のガイドラインが策定され屋外では可能になった。屋内での活用ニーズも大きいことから、目視による法定検査の代替として安全に運用できるか検討が進められている。
先進技術の活用はドローンだけでなく、人工知能(AI)で配管などの異常を検知したり、実際のプラントとコンピューター上の仮想プラントをデータ連携させるデジタルツインで効率的な設備保全に役立てるなど、さまざまな動きが広がる。
背景にあるのは設備老朽化と人手不足だ。高度経済成長を支えてきたプラントの多くは、運転開始から半世紀近くが経過。団塊世代の引退時期がこれに重なり、設備保全や安定操業への不安に拍車をかける。こうした構造的な課題解決の切り札として期待されるのが、デジタル技術の活用である。設備保全にとどまらずプラントのオペレーションそのものを最適化し、新興国の最新プラントに対する競争力を高める狙いもある。
ただ、既存の保安規制はこうした技術潮流に追いついていない。海外では防爆認証されている機器が、日本では使えないといった問題もある。国はセンサーやタブレットといった電子機器を用いた保守点検を可能にするルール整備を進めるが、技術進展に対応した一層のスピード感が期待される。
経済産業省はデジタル化を踏まえ、今後の産業保安のあり方を議論する官民協議会を19年度中にも発足し、合理的な制度見直しへの検討を始める。関係業界もこうした機運を捉えて現場ニーズを積極的に発信し、規制改革の実現とそれぞれの取り組みを進化させてもらいたい。
(2020/2/12 05:00)
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