(2020/2/18 05:00)
景気回復の継続が期待された日本経済は曲がり角に立たされている。2019年10月の消費税引き上げの影響は事前の予想以上に大きく、個人消費が大幅に下落した。設備投資もマイナスに転じ、わが国景気は明らかに下降局面にある。新型肺炎の国内感染が景気を一層下押しする懸念も出てきた。
内閣府が17日発表した19年10―12月期の実質国内総生産(GDP)1次速報値は、前期比1・6%減、年率換算で6・3%減と5四半期ぶりのマイナス成長となった。消費増税に伴う駆け込み需要の反動減に加え、実質雇用者所得の減少で個人消費が同2・9%減となった。また設備投資は同3・7%減、住宅投資も同2・7%減と内需の3本柱がそろって不振だったことが、落ち込みを大きくした。
一方の外需は、世界経済の低迷を背景に、輸出が同0・1%減と不振が続く一方、輸入も低調な内需を背景に同2・6%減と、輸出の減少を大きく上回った。このためGDPへの寄与度は同0・5%のプラスとなり、わずかに成長率を押し上げた。
20年1―3月期を見通すと、個人消費の冷え込みに加えて、新型肺炎の影響が日本経済に逆風となることが予想され、マイナス成長が続く可能性が出てきた。中国からの訪日客が減少しているうえ、中国の生産活動の低迷で対中輸出が大きく落ち込むことが避けられず、GDPを下押すことは必至だ。
国際通貨基金(IMF)の最新の世界成長率見通しは、前年の2・9%から今年は3・3%に上向くと予測した。だが、新型肺炎の感染者拡大で中国では製造業の生産停滞が続いている。中国の不振は新興国をはじめ日本や欧米各国の景気低迷を招くため、成長率の下方修正は避けられないもよう。
今後の景気対策は、新型肺炎対策が最優先となるのは間違いない。官民を挙げて感染者の拡大防止、検査・治療体制の充実をはかり“見えない恐怖”を囲い込むことが急務だ。その上で、政府は経済対策を盛り込んだ19年度補正予算の執行を通じて、景気下支えに努めてほしい。
(2020/2/18 05:00)
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