(2020/2/21 05:00)
地方の金融機関と大学が連携し、スタートアップ企業を支援する仕組みが活発化している。
山口フィナンシャルグループ(FG)は、全国の金融グループで初めて、地元大学に限定した投資育成事業を始めた。また西日本シティ銀行も中小企業基盤整備機構などと新産業創出を目指して設立した「QB第一号ファンド」を通じ、九州の大学発ベンチャーに投資する。イノベーション創出で地域創生を図る狙いがある。
山口FGと山口大学は「ファン・ファン・ドライブ投資事業有限責任組合」を設立した。山口大は4月に「ベンチャー起業支援室(仮称)」も設置する。相互に人員を派遣し、初年度10件程度の応募を見込む。
山口FGは2017年、ベンチャー企業に投資する「投資共創部」を設立。ユニコーンファンドを活用してこれまで18社に15億円を出資した。中国地域外の企業も多く、地元創業の難しさが浮き彫りになった。同社の吉村猛社長は「シード(起業前)やアーリーステージ(起業直後)に対して、銀行としてリスクを取る覚悟が求められている」と説く。
一方の西日本シティ銀行が進めるQBファンドも起業前のシード段階から少額を投資し、事業化を見極める。起業後には成長に応じて大型投資に移行する。これまでに医療機器開発ベンチャーなどに出資した。谷川浩道頭取は「後継ファンドも検討中」と拡大させる方針だ。
各社の取り組みは金融、大学双方が共有する危機意識がある。山口県は広島・福岡両県に挟まれ、若者の県外流出が著しい。福岡県も福岡市以外の市町村では高齢化が顕著で、優秀な人材が首都圏に流出する構図は変わらない。人材定着には雇用の場確保とともに、創業しやすい環境も求められる。
かつては日本経済の強みと言われた終身雇用制度が形骸化し、起業意識は高まっている。受け皿が整えばそこに目を向ける人材は増えるだろう。地域の金融と人材育成を担う立場として、リスクを覚悟したベンチャー育成に期待したい。
(2020/2/21 05:00)
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