(2020/2/26 05:00)
ほぼ1年前のこの欄で「『姉川クラゲ』をご存じか」と問うた。食料や環境問題など地球規模の課題解決に役立つ特性を持つ植物で、龍谷大学農学部は滋賀県の地域資源に活用すべく事業化プロジェクトに取り組んでいる。
一般に「イシクラゲ」で知られるネンジュモ科陸棲ラン藻類で、湿った地面に自生するワカメのような生物だ。乾燥や貧栄養の極限で育ち、抗ウイルスなど機能性成分を多く含む。滋賀県長浜市を流れる姉川流域で食されていた記録が残る。
このほど姉川クラゲを食す機会に恵まれた。同大学が地元の製麺所の協力で、2%を添加したそば「姉川くらげそば」の試食会を開催した。添加で歯ごたえが強くなるようで、まさにその通りの食感だった。海藻をつなぎにする新潟県のへぎそばもあり、姉川クラゲも人気が出そうだと感じた。
同大学は食品や化粧品、医薬品などへの活用を目指している。大学農場や農家で栽培実験を行い、課題だった安定栽培・供給手法の確立にめどをつけるとしている。
試作したそばは学内や地域での販売が検討されており、そうなれば急速に認知も広がるだろう。姉川クラゲを「ご存じか」から「もう食されたか」と、問う日も近いかもしれない。
(2020/2/26 05:00)