(2020/2/26 05:00)
脱炭素社会の実現には、非連続な技術革新が必要だが、コストを抑制しなければ対策費は多大なものとなる。どの技術が有望かを見極める指針となることを期待したい。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、二酸化炭素(CO2)排出量を2050年時点で実質ゼロにするには、年間約400億トンの削減が必要で、従来技術だけで実現するには、全世界で毎年1000兆円規模のコストがかかると試算した。世界のGDPの約15%という巨費で、およそ現実的ではない。革新的技術の導入で大幅なコスト低減をはかる必要があるのを数値で示した。
その上で、CO2削減の可能量とコストを最新のデータを基に試算し、技術開発総合指針として公表した。産業界が今後取り組むべき革新的技術の方向性を示したものだ。
例えば、次世代太陽光発電分野では、銅・インジウム・ガリウム・セレン化合物による薄膜太陽電池などを用いて、発電効率を高めながら軽量化し、ビルの壁面や車に搭載すれば、50年時点のCO2の削減可能量は48億トン、発電単価は1キロワット時当たり14円と、業務用電力単価の15円より低くできると試算した。有望な技術開発候補と位置付けられる。
同様の試算を次世代蓄電池、水素発電、バイオプラスチックなど17分野で行った。
NEDOがこうした試算を公表するのは初めて。企業の技術開発が小粒化し、革新的な開発に大胆な投資ができない状況に危機感を持ったためだ。また、技術優先でコストを度外視する風潮も警戒すべきとしている。今後も試算は改訂していく。
企業は試算を参考に自社が取り組む研究開発が、将来どの程度CO2を削減でき、コストはどの程度かを見通すことができる。自信を持って開発投資に踏み出せたり、場合によっては開発の中止を決断したりできる。
「環境と成長の好循環」を実現させ、地球温暖化対策で世界をリードするためにも、指針を有効活用し、開発投資に踏み出してもらいたい。
(2020/2/26 05:00)
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