(2020/2/27 05:00)
先般、サウジアラビアの首都リヤドで20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が開かれた。2日間の討議では新型コロナウイルス感染拡大への対応に多くの時間が割かれた。
世界経済への影響の不確実性が高まる一方とあって、共同声明には「世界経済の下振れリスクは根強い」との認識が盛り込まれた。企業のサプライチェーンの混乱も広がりを見せており、こうした認識に誤りはないだろう。
会議では緊急事態に対処する政策選択肢のメニューも話し合われたという。だが、声明に具体的な内容は見当たらない。感染拡大の深刻さに比べて、会議の本気度が足りない印象は拭えない。
コロナウイルス問題の震源地は中国。だが、中国の財務相と人民銀行総裁は、国内対策を優先して欠席した。感染の程度も他国とは問題にならない中国の代表が討議をリードすべきだが、批判をかわしたかったのだろうか。対応への具体策のなさと相まって、G20の意義を損なったとの批判も。
リスクへの対応は難しい。深刻になり過ぎ、被害や影響を過大視しては本末転倒だ。ここ数日の世界同時株安には、そうした面も見られる。G20が明確なメッセージを示せなかったことも、世界を不安にさせている。
(2020/2/27 05:00)