(2020/3/3 05:00)
異例の表明が金融市場の安定につながるか注視したい。
日銀の黒田東彦総裁は2日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、金融市場の安定確保に向けて緊急談話を発表した。あわせて日銀は5000億円の資金供給オペレーション(国債買い現先オペ)の実施を発表、金融市場の安定に万全を期す姿勢を示した。株式市場も発言を好感し、2日の終値は6営業日ぶりに上昇した。
新型ウイルスの感染拡大で世界同時株安が進行、経済の先行き不透明感が強まる中で、内外の金融市場では不安定な動きが続いていた。黒田総裁は「適切な市場調節や資産買い入れを通じて金融市場の安定確保に努めていく」と表明した。
日銀総裁が談話を発表するのは、英国の欧州連合(EU)離脱で金融市場が動揺した16年6月に麻生太郎財務相と共同で発表して以来。単独での談話発表はギリシャの債務危機が緊迫化した15年7月以来のこと。市場関係者は総裁談話について「世界同時株安で不安心理が拡大しているため、とりあえず不安心理の払拭(ふっしょく)を図った」とみている。
2月28日には、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が新型ウイルスについて「今後の展開と経済見通しへの影響を注視している」とし、政策金利を引き下げる用意があることを示したため、日銀の出方が注目されていた。
総裁談話を受け、日銀はただちに国債買い現先オペの実施を通告した。潤沢な資金供給で金融市場の安定確保に努める姿勢を明らかにしたもの。買い入れ期間は3日から16日まで。下限となる応札レートはマイナス0・1%。金融市場が資金不足状態にあるわけではないため、あくまでも予防的な措置といえよう。
感染拡大で景気や企業収益への悪影響が危惧されている。小中高の一斉休校など国を挙げた感染防止対策も始まった。日銀もこうした動きに歩調を合わせて緊急談話を発表、適切な金融市場調節に乗り出した。感染拡大が日本経済に与える打撃を抑制するものとして評価したい。
(2020/3/3 05:00)
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