社説/マスク不足深刻化 政府は安定供給に取り組め

(2020/3/4 05:00)

政府はマスク不足を深刻に受け止め、解消に努力してもらいたい。

新型コロナウイルスの感染防止に、ラッシュアワー対策は極めて重要だ。ラッシュ時の車内はまさに濃厚接触で、感染者がいれば一気に広がる危険が大きい。鉄道・バス会社は国土交通省の求めに応じ、「テレワークや時差通勤の実施による混雑緩和」と「手洗い、咳エチケット」を呼びかける車内放送を始めた。

問題は「マスク着用を」とストレートに言えないほど、マスクが不足していることだ。経済産業省によると、国内マスクメーカーは24時間操業で平常時の3倍増産し、週1億枚を供給している。政府の増産支援もあり、月内に月6億枚の供給が可能になるという。徐々に供給体制は整いつつある。

それでも現在、店頭でのマスク入手は困難だ。医療関係や公共事業者に優先出荷するのは理解できるが、それだけで市中に流通しないのはなぜなのか。政府は転売目的の買い占め行為、高額商品との抱き合わせ販売がないか、監視を強化してもらいたい。また、ウェブサイト上では高額でマスクが販売されている。こうした行為の自粛も促していくべきだ。

政府は生産者から直接マスクを買い上げ、感染拡大が続く北海道に供給することを決めた。今後各地で同様のことが起きれば、国が供給を管理する事態になりかねない。

一方で国民は必要な枚数の確保にとどめ、買いだめ行為は自制したい。世界保健機関(WHO)は「マスク着用は感染予防にならない」と指摘する。必要なのは発熱や咳などの症状がある人たちだ。

全国の小中高校が休校に入った。産業界もテレワークや時差通勤が本格化している。だが「1時間早く電車に乗ったら、普段より混雑していた」という声が聞かれるなど、混雑緩和は難しい。そもそも大都市圏は、適正キャパシティーを大きく超える乗客がいる。一極集中の弊害がウイルス感染問題でも露呈している。

(2020/3/4 05:00)

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