(2020/3/10 05:00)
東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故で不通になっているJR常磐線が14日、9年ぶりに全線で運転を再開する。「まずは交流人口を増やす起爆剤にしたい」(浪江町商工会)と地元の期待は膨らむ。
再開するのは福島県の富岡―浪江駅間(20・8キロメートル)。JR東日本は広野―原ノ町駅間で普通列車を1日上下線計22本運転。特急「ひたち」は品川・上野―仙台駅間で1日上下線計6本運転し、県内は11駅に停車する。
復興はゆっくりだが、着実に進んでいる。今春第1期の造成を終える「富岡産業団地」には、来年4月から20人規模で自動車部品を製造する片山製作所(岐阜県可児市)や、地元の中小企業を含め4社が進出を決めた。
浪江町の「棚塩産業団地」では国や県の支援を受けて世界最大級の水素工場や、住宅の柱などに使う集成材の大規模工場が稼働する。域外から多くの人口流入が見込まれ、地元は経済活性化に期待を寄せる。
富岡町のシンボルは全長2・2キロメートルの「夜の森桜並木」。震災前は10万人を超える花見客でにぎわったが、いまだに一部は立ち入りが制限されている。帰還者は居住者の4割ほどにすぎないものの、鉄道の再開と産業振興で、被災地の春は彩りを増しそうだ。
(2020/3/10 05:00)