(2020/3/11 05:00)
被災地に新たな産業を興し、住民が希望を持って暮らせる場所となるまで、取り組みを続けなければならない。
東日本大震災から9年。地震や津波で大きな被害を受けた地域のインフラ整備は着実に進んだ。震災直後に大きく落ち込んだ鉱工業生産指数は、東北全体ではほぼ回復したが、沿岸部の産業復興は遅れが目立つ。
経済産業省の調査によると、震災前水準以上に回復した割合は建設業や運送業が高く、製造業がそれに続く。最も遅れているのは水産・食品加工業だ。中小企業の復興支援を目的とした「グループ補助金」の交付は1万件を超え、事業再開に一定の役割を果たした。
今後とも重要なのは、地域の実情に応じたきめ細かい支援策だ。特に最も課題を抱えている福島県は、原子力発電所の廃炉と土壌の除染を進めつつ、新しい産業を興す必要がある。
その象徴となるのが、国家プロジェクトである「福島イノベーション・コースト構想」だ。浜通りエリアにロボット、エネルギー、廃炉、農林水産業を中心とした新産業の創出拠点を設ける。7日には福島水素エネルギー研究フィールドが開所し、太陽光発電で水素を生産する。次世代エネルギーの開発で、世界をリードする拠点となる。
月末には世界最大のロボットの実証拠点として福島ロボットテストフィールドも完成。今夏開催のワールド・ロボット・サミットの会場となる。
また産業技術総合研究所の福島再生可能エネルギー研究所では、被災地中小企業の技術を活用し、再生可能エネルギー関連技術の開発を支援する取り組みが進む。これまで100件超を支援し、40件を商品化した。同研究所の中岩勝所長は「海外から『あのFUKUSHIMAで新技術に挑戦する取り組みが素晴らしい』と評価されている。この中から世界に飛躍する企業が現れてほしい」と期待する。
他の地域の若者が東北の被災エリアで新しい事業を興そうという機運も表れているという。国も産業界も、息の長い支援を続けたい。
(2020/3/11 05:00)
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