(2020/3/12 05:00)
新型コロナウイルスの感染が世界に波及し、世界経済は混乱状態に陥っている。克服には、各国が協調して対策を打ち出す姿勢が重要だ。日本も経済対策を早急にまとめ、不安を払拭(ふっしょく)する姿勢を示してもらいたい。
感染拡大への対策として、人やモノの移動に制限がかかり、経済活動にも支障が生じている。収束には数カ月から1年かかるとの見通しもあり、リーマン・ショック並みの悪影響になるとの悲観的な見通しもある。
日本政府は緊急対応策の第2弾として、中小・零細企業向けに実質無利子・無担保で融資する特別貸付制度の創設など、総額1兆6000億円規模の金融措置や、学校休校で休職する保護者の所得を補う助成金などに約4300億円の財政措置を盛り込んだ。売り上げ急減に直面する中小企業の資金繰り対策など、当面の危機回避には役立つだろう。
ただ、景気の急激な落ち込みに対処できるほどの力強さには欠ける。米トランプ大統領は給与税の減税や中小企業への支援策を講じる方針を表明した。日本も景気対策を打ち出し、世界経済の安定化に貢献する姿勢を示すべきだ。
まずは2020年度の政府予算にある東京五輪後を踏まえた景気刺激策のなかで、効果のあるものを前倒しで実施し、さらに必要なら補正予算の編成にも早期に着手すべきだ。
冷え込んでいる個人消費の拡大、企業の国内回帰に結びつく設備投資、雇用を維持する中小企業の経営安定化、在宅勤務など社会変革につながるデジタル化投資などが考えられる。自民党のなかからは、補正予算は20兆―30兆円規模が必要との声もあるが、莫大(ばくだい)な財政赤字を抱える状況を踏まえ、効果を精査する視点も忘れないでもらいたい。
世界が一致団結しなければ危機は乗り越えられない。経済危機の元凶となった新型ウイルスのまん延阻止へ、各国が連携し成果を上げれば、内向き傾向にある世界の構図にも、協調の大事さが再認識されるきっかけとなるかもしれない。
(2020/3/12 05:00)
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