(2020/3/25 05:00)
日本の交通事故の死者が最悪だったのは1970年(昭45)の1万6765人。その深刻さは『交通戦争』と評され、政府は施設整備や交通教育に乗り出した。「右見て左見て、もう一度右を見て」というかけ声は今も変わらない。
イタリア政府が日本時間24日未明に発表した新型コロナウイルスによる死者は6077人。なお増加中だ。人口比で日本に当てはめれば1万人を超す。まさに『コロナ戦争』だ。
政府の専門家会議副座長である尾身茂地域医療機能推進機構理事長は、2月13日の日本記者クラブの会見の時から「各国の対策の評価は死亡者数で決まる」と話している。日本は、なんとか最悪の事態を前に踏みとどまっている。
欧州諸国をはじめとする国境閉鎖や外出禁止。ついに日米間の往来さえ規制された。移動の自由の喪失は経済的損失を拡大させ、長期化すれば食糧などのライフラインを脅かす。
『交通戦争』当時、事故死抑制には自動車による移動を制限せよという乱暴な議論があった。しかし国民に安全意識が定着したことで、2019年の事故死は戦後最少の3215人まで減らせた。『コロナ戦争』でも、専門家の英知と国民の努力によって、爆発的感染を抑え込みたい。
(2020/3/25 05:00)