(2020/3/31 05:00)
水金地火木土天海という太陽系の惑星に、どんなイメージをお持ちだろうか。“お隣さん”の金星と火星は地球に似ていて、古典的SFでは宇宙人の住まいだった。木星と土星はケタ違いに巨大なガス星。天王星と海王星は氷の塊だ。
兄弟惑星のトップバッターである水星に対しては、イメージが湧きにくい。それもそのはずで、地球から探査機を送り込んだのは過去に2回だけ。はるかに遠い木星にも及ばないから情報が少ない。
人類にとって3回目となる水星探査『ベピ・コロンボ』計画が進行中だ。イタリアの学者の名をとった日欧共同プロジェクトで、2018年に欧州のロケットで打ち上げた。日本は磁気圏探査機『みお』を担当。欧州の受け持つ表面探査機とペアで謎の解明に挑戦する。
難しいのは水星が惑星としては最小で、太陽に近いこと。上手にルートを設計しないと太陽に引き込まれてしまう。首尾よく軌道に乗せても、常に数百度の高熱に晒(さら)される。
4月10日に地球重力を使った「スイングバイ」加速で水星に向かう。本格的な旅立ちを前に、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は『みお』の正常稼働を確認した。無事に到達して、我々に水星の新しい姿を伝えてくれる日を待ちたい。
(2020/3/31 05:00)