(2020/3/31 05:00)
長期化するテレワークを非常時の暫定措置に留めず、全社業務の見直しを伴うデジタル変革(DX)につなげる契機ととらえたい。
新型コロナウイルスの感染拡大が進む中、社内規程もないままにテレワーク導入に踏み切った企業は数多い。急な要請に対して、徹夜で対応したIT部門も多く、現場はいまだ混乱気味。コロナ対策が長丁場の様相となり、IT活用に出遅れていた中小企業などもテレワークに腰を据えて向き合わねばならなくなっているのが現状だ。
日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)の調査(全878社が対象)によると、働き方改革を経営目標とする企業は「検討中」を含めて全体の8割を占めたが、テレワークなどのシステム導入は「実施中」が3割弱、「検討中」が3割強に留まる。テレワークは働き方改革のツールとしての期待は高いが、まだ道半ばといえる。
ただ、この調査は新型コロナ前の状況を反映した結果であり、急を要する今ならば実現可能な部門から、テレワークやクラウド利用の拡大を進め、業務のデジタル化をもう一段推し進めることは可能だ。
DXの本丸に踏み込むには、経営としての覚悟が不可欠。書面やファクシミリなどの紙ベースの業務の見直しが不十分な中で、テレワークが長引くと、業務効率が上がらずコスト高になるからだ。
現状を踏まえれば、社内会議などで会社に無理やり集まるよりも、遠隔からテレワークで会議に参加したり、在宅で勤務したりすることへの抵抗感は少ない。情報共有向けITツールは用途ごとに自由に選べば良い。電子署名などの外部サービスを活用し、契約書を含むすべての取引文書を電子化すれば、出遅れ気味の中小企業のDXが大きく前進するとの指摘もある。
2023年には消費税の仕入税額控除の方式として、「インボイス制度」の導入が控え、その先には「電子インボイス」に伴う帳簿の電子化が俎上(そじょう)に乗る。そこも見据え、すべてを電子化する気構えで臨むべきだ。
(2020/3/31 05:00)
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