(2020/4/2 05:00)
企業の景況感は急激かつ大幅に悪化している。景気が後退局面に入ったことは疑いようがない。一日も早い大型経済対策の発表が待たれる。
日銀が1日発表した3月の全国企業短期経済観測調査(短観)によると、代表的な指標である大企業製造業の業況判断DIは、前回調査のプラスマイナス0からマイナス8ポイントへ大幅に悪化した。業況判断DIのマイナスは7年ぶり。新型コロナウイルス感染拡大に伴う世界経済の萎縮で企業活動が停滞し、幅広い業種で景況感が悪化した。
訪日外国人客の減少と外出自粛措置の影響で、宿泊・飲食をはじめとする各種サービス業が収益減を強いられたため、大企業非製造業の業況判断DIも、製造業を上回るマイナス幅を記録。中小企業製造業・非製造業の景況感もそろって悪化した。
感染拡大が収束するめどが立たないとあって、先行き見通しは大企業製造業が3ポイント、大企業非製造業が9ポイントのさらなる悪化を見込んでいる。調査段階では、東京五輪・パラリンピック延期は十分に織り込まれておらず、さらにマイナス幅は広がる見込み。2020年度の日本経済がマイナス成長となる可能性が高くなってきた。
企業収益の悪化で生産・雇用調整が進むと、消費減退に直結する。こうした「負の連鎖」は極力抑えなければならない。企業は雇用の維持に全力を挙げてほしい。在宅勤務などテレワークの環境整備にも力を入れる必要があろう。内部留保のある企業はそれを活用すべきときだ。
リーマン・ショックは最初に金融機関や大企業に打撃を与え、徐々に影響が中小企業に広がった。今回は経営体力に乏しい中小・零細企業が先に打撃を受けている点が大きく異なる。
政府は現在策定中の緊急経済対策の規模をリーマン・ショック時を上回る規模とする方針だが、大切なのは困窮世帯や中小企業への救済策を早期にまとめ、実施することだ。その上で、新型コロナ収束後に消費拡大をけん引する施策も示し、将来に希望がみいだせる対策を講じてもらいたい。
(2020/4/2 05:00)
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