(2020/4/6 05:00)
実践と理論を両立させる専門職大学・専門職短期大学が、新制度から2年目を迎える。情報系や大学校からの転換など多様になってもいる。従来の大学にはできない人材育成で、存在感を出してほしい。
専門職大学が育成するのは、従来の専門学校の実践力と、知識を基にした大学の創造力を兼ね備えた人材だ。そのため授業の3分の1以上が実技・実習に割かれる。長期インターンシップ(就業体験)での連携先は、多くが1大学で100社・機関を超える。新タイプの大学とあって高校生や保護者などへの認知度アップが課題だが、地元企業や自治体など多くの協力を得ているのが強みだ。
新制度が始まった2019年度、初年度設置はわずか3校だった。通常の大学と異なる要件も多く、ハードルは関係者の予想以上に高かった。しかし20年度設置は8校に増えた。数の増加は社会の認知度アップにつながるだけに、関係者は安堵(あんど)している。
設置者は専門学校を経営する学校法人が多く、分野は医療や介護が目立つ。しかし開志専門職大学(新潟市)は、情報と事業創造の2学部が認可され、さらに観光とアニメ・マンガの2学部設置も狙っている。
東京国際工科専門職大学(東京都新宿区)は、首都の地の利を生かし、情報とデジタルコンテンツで勝負する。情報経営イノベーション専門職大学(同墨田区)は、土地を区から借りる一方、地元の中小企業の情報環境支援も手がける。
専門と隣接する領域の学びが重視される点も、通常の大学と異なる点だ。そのため多くの大学が、起業を含むビジネスの学びを盛り込んでいる。
大学校から転換する静岡県立農林環境専門職大学(静岡県磐田市)は、農業法人のリーダー育成を掲げ、経営管理や加工・流通・販売、飛行ロボット(ドローン)のスマート農業などにも取り組む。
専門職大学こそ社会ニーズに合った人材育成ができると期待する声もある。既存の大学と刺激し合って発展を望みたい。
(2020/4/6 05:00)
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