(2020/4/8 05:00)
事業規模108兆円という過去に例のない緊急経済対策だが、必要とする国民や企業に迅速に届かなければ意味はない。政府は早期の給付に知恵を絞ってもらいたい。
安倍晋三首相は7日、新型コロナウイルス感染爆発阻止へ、緊急事態宣言を出した。東京、大阪など7都府県で、期間は5月6日まで。外出自粛などで「人の交流を8割抑えてもらいたい」と述べた。経済への悪影響は計り知れないが、企業も可能な限り協力してもらいたい。
政府は同時に緊急経済対策をまとめ、経済の急激な縮小で、生活や事業が破たんする恐れのある個人や企業の救済と、感染収束後の景気回復策を示した。
救済策は収入が減少した世帯に30万円の現金給付、売り上げが減少した中小企業に最大200万円、個人事業主に同100万円を給付する。民間金融機関にも実質無利子・無担保融資が行えるようにする―などだ。
問題はこうした給付・融資をいかに迅速にできるかだ。すでに始まっている政府系金融機関による融資は、窓口に人が殺到し、対応が追いつかない状態になっている。
今後始まる世帯や企業への現金給付は、前例がないだけに、対応する市町村などの窓口が混雑することが予想される。感染拡大のリスクも生じる。こうした事態を回避するために、インターネットの活用などで申請を簡略化し、極力窓口に人が集まらない対応を講じていく必要がある。
政府は給付対象になる世帯や企業の要件と、給付の手順を早期に示してもらいたい。申請する側も前年の納税額や源泉徴収票、直近の所得や売り上げの減少状況などのデータを準備しておけば、給付の手続きが円滑になる可能性がある。
緊急経済対策108兆円のうち、財政支出は39兆円にのぼる。政府は財源を赤字国債、建設国債の発行でまかなう方針。緊急事態であり財政のさらなる悪化も容認せざるを得ない。まずは、必要な世帯や企業に必要な支援が行き届くスピード最優先で取り組んでもらいたい。
(2020/4/8 05:00)
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