(2020/4/16 05:00)
オンライン授業における著作権の扱いが、2020年度は無償利用可能と決まった。新型コロナウイルスの感染拡大による特例措置。21年度以降に制度が定着するよう、関係者間で改めて協議が求められる。
学校教育では教材として他人の著作物、教科書を含む書籍や写真などを使うことが多い。現行の著作権制度では、印刷物の配布と同様に、教室内や他キャンパスへの同時配信は、権利者の許諾なしに無償で行える。
一方、インターネットなどを利用して、集合授業と別な時間帯に学ぶオンデマンド型配信などは、有償で権利者への使用許諾が必要だった。予習用資料をメール送信したり、学生が別の時間に学んだりするのに、こうした手続きは煩雑だった。
改善策として文化庁が指定する管理団体、授業目的公衆送信補償金等管理協会(SARTRAS)に学校法人などが「1人年間いくら」といった形で補償金を払い、著作権者に資金配分することで、許諾不要で利用できるようにする。そんな制度が2021年5月までに始まることになっていた。
新型コロナウイルス感染拡大で集合型授業が困難となるなか、オンライン授業へのニーズが高まり、新制度の早期実施を求める声が上がった。
そこでSARTRASは補償金制度の前倒し実施と、20年度は特例として0円で申請。改正著作権法の施行政令により、4月28日の施行が決まった。緊急事態宣言の対象地域の大学の多くは、ゴールデンウイーク明けに授業を開始する予定。オンライン授業を前提に教材準備で追われる大学にとってもギリギリで間に合った。
ただし21年度以降は金額も、対象となる範囲を示す運用指針も改めての検討となる。最近の音楽教室を巡る裁判からもわかるように、権利対価は権利者側は高く、使用者側は安くと求めてぶつかりあう。過去1年はこの金額設定で押し引きが続いていたという。本年度の取り組みが双方の歩み寄りの土台となり、制度が定着する方向で協議が進むことを期待したい。
(2020/4/16 05:00)
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