(2020/4/17 05:00)
政府は新型コロナウイルス感染の拡大を踏まえ、緊急事態宣言の対象を全国に広げる。国民・産業界がこぞって拡大阻止に取り組み、早期の収束に結びつけたい。
新型コロナウイルスの感染者は9000人を超え、地域も拡大している。これまで緊急事態宣言の対象だった東京や大阪などの7都府県で店舗が多数休業したため、営業中の近隣県に人が流出する事例が多数見られる。現状のままでは感染抑止が十分に進まず、医療崩壊という最悪の事態も現実味をおびてきた。政府は対象を一気に全国へと拡大し、人の行動をさらに抑制する方針へと転換した。
大型連休が終了する5月6日まで全国的に外出の自粛が求められる。多くの店舗も休業することになる。経済への打撃はさらに強まるが、今は感染阻止を最優先としなければならない。
産業界も東芝がインフラ関連事業を除く国内全事業所の休止を決めるなど、自粛を一層強化する動きが広がっている。対応の遅れが目立つ中小企業も、テレワークの実施や休業措置に踏み切ることが求められる。
また、安倍晋三首相は、国民への現金給付について、当初の生活困窮世帯に30万円という方針を撤回し、全国民に1人当たり10万円を給付する方向で補正予算の組み替えを指示した。30万円の支給対象世帯が少なすぎると批判が上がっていた。
急な変更で国民は困惑している。前例のない事態とはいえ、対応が後手に回っているという批判はまぬがれまい。予算規模も12兆円超とさらに膨らみ、将来の財政悪化は避けられないことも忘れてはならない。一律給付の方が早期支給に結びつくと言うなら、確実に実施し、国民を安心させてもらいたい。
感染者が減らず自粛が長期化すれば経済はさらに縮小することになる。今後2週間に人と人との交流を80%低減すれば、早期収束への光明も見えてくる。諸外国では日本よりはるかに厳しい外出禁止措置がとられている。自粛で成果を見いだせるか、今が正念場だ。一人ひとりの行動が問われている。
(2020/4/17 05:00)
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