(2020/4/24 05:00)
新型コロナウイルスはまた賢人を我々から奪った。元オムロン会長・社長の立石義雄さんが亡くなった。同社を世界的な制御機器メーカーに育て上げ、3月に退任するまで約13年間京都商工会議所会頭として、京都ブランドの世界への発信に尽力した。
京都経済百年の計として取り組んだ「京都経済センター」の開設を果たし、これからは持論の「知恵産業」でさらに京都を盛り上げようと情熱を燃やしていたところだった。
立石さんは知恵産業について「歴史や伝統文化、進取気鋭の風土、京都の地域特性や企業独自の強みを生かす。そこから新たな知恵を誘引し、オリジナルの製品やサービスが生みだしていく」とし、創出塾やビジネスプランコンテストなど、数多くの知恵産業創出の仕掛けづくりに知恵を絞った。
「広角」という弊紙の連載企画を執筆していただいた時も、京都や地域経済に話が及ぶと、知恵産業の大切さを熱っぽく語っていた。
知恵産業の支援母体として「京都知恵産業創造の森」を創設し、理事長に就任。3月末の会頭交代会見の直後に、懇意の記者に「これからも知恵産業の情報交換会をしよう」と意欲を見せていた。一度も開かれないままだったのが悔やまれる。
(2020/4/24 05:00)