(2020/4/28 05:00)
退院して20日後の会見だった。新型コロナウイルス感染症で周囲に与えた不安・心配への陳謝、職務復帰の対外報告、闘病体験と地域医療への感謝、そして風評被害を語った。「打ち消す波を、周囲の理解を」と強調した。
会見者は経営者の男性。地域のリーダーの一人だ。この街は3月中旬まで感染例ゼロで、“最初の人”となった。それから1週間で感染判明が相次ぎ、街の空気が一変。
「持ち込んだ責任は!」という非難の類や、事実ではない臆測をネットに書かれた。男性は「自分だけなら我慢した」と言う。だが他の社員や家族、また医療従事者までが忌避の目で見られる風潮に、異例の会見を設けた。社外監査役らも同席のもと約1時間、質問にも丁寧に答えた。
会見での説明によると、海外出張は2月半ばから手控えた。顧客との1年前からのアポイントで国内出張し、戻って数日で発症した。出張の接触者らに発症はなく、感染経路は特定されないままだ。
対コロナ戦争が生む新たな痛み。会見に対する感想は一様ではないようだが、重く受け止められた。あらためて頭を整理したい。世界を覆うこの試練は国や立場を超え、前線の医療関係者らと皆のチームワークなしに克服できない。
(2020/4/28 05:00)