(2020/4/28 05:00)
日銀が追加緩和策を決定し、新型コロナウイルスの感染拡大で経営が悪化する企業に対する資金繰り支援を強化した。緊急経済対策を発表した政府と歩調を合わせ、危機に対応する姿勢を示したことは評価できる。
27日に決めた追加緩和策は、これまで年間80兆円をめどとしていた長期国債の購入額の枠を撤廃し、国債購入を積極化して金利を引き下げ、潤沢に資金を供給する。同時に、社債やコマーシャルペーパー(CP)の追加購入枠も合計20兆円を上限に大幅拡大し、企業の資金繰りに万全を期す。それぞれ1000億円だった発行体当たりの買い入れ残高の上限を、CP5000億円、社債3000億円とする。
中小企業の資金繰り支援として、「新型コロナウイルス感染症対応金融支援特別オペ」と名付けた特別オペ(公開市場操作)を実施する。民間債務全般を担保対象とし、枠も8兆円から23兆円に拡大する。地方銀行の利用を促し、地方の中小企業にも支援が行き渡るようにする。
金融機関などへの副作用の大きさを考慮して、マイナス金利の深掘りは見送ったが、3月の上場投資信託(ETF)購入拡大と合わせて、コロナ禍に悩む企業への資金繰り支援へ、まさに「政策総動員」をとる。
また同日公表された「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)は、2020年度の国内総生産成長率見通しを前年度比マイナス3―マイナス5%(前回1月は同プラス0・9%)とした。消費者物価指数もマイナス0・3―マイナス0・7%と下方修正した。コロナ禍と原油価格の下落を反映した。経済・物価いずれの見通しも「下振れリスクの方が大きい」と見ており、不確実性を指摘した。
2カ月連続の日銀による異例の政策運営が、政府の緊急経済対策と相まって金融面から企業を支え、コロナ禍克服に効果を発揮することが期待される。しかし、飲食・サービス業は中小・零細企業が多く、倒産の危機が迫る企業もいる。製造業にも悪影響が拡大している。政府・日銀にはさらなる企業支援策の検討、実施が求められる。
(2020/4/28 05:00)
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